スバルとトヨタが一緒になってスポーツカーを創るという。
日本で一番個性的な車を作るスバルと、どんなジャンルの車にも対応できる技術と資本力を持ったトヨタのコラボレーションは実に楽しみだ。
そこでちょっと昔のスバルとトヨタのスポーツカーを紹介する。
1961年の東京モーターショーに出品されていたスバルのリヤエンジンスポーツカーだ。
これはスバルサンバーのシャシとスバル450のエンジンを組み合わせたプラスチックボディのオープン2シーターだ、当時で言うならFIAT850スプリントのようなクルマだが、50年近く昔のこととは言え、空冷2サイクル450ccエンジンと、軽トラックシャシが 本格的スポーツカーといえたのかどうか、と思うのだが、この年の自動車雑誌から拾い読みすると。
「東京モーターショーに多数のスポーツカーが発表になったことは我が国の自動車社会の健全な発展のために喜ばしいこと」
と前置きした上で、「 馬力辺り重量は17.4HPで」「これではせっかく軽量のプラスチックボディを採用した意味もない」
とこき下ろし、「スタイルは人目を引くには十分であるが、フロントのオーバーハングの長すぎるのはちょっと気になる」
「この鼻先の長さは日本名物の悪路にはちょっと無縁かもしれない」が「スバルスポーツがpoor man's Abarth(?)として、日本の道路を走り出す日も近い」
「その将来はかなり注目すべきものといえよう」と締めくくっている。
この Abarth のスペルは間違っているようだが、poor man's Abarthとは、直訳すると「貧乏人のよりどころ」というほどの意味らしい。
スポーツカーにpoor man's をつけて「心情的スポーツカー」と読ませる記事を読んだことがあるが、やはりこのスポーツカーに本気で期待する人はいなかったようだ。
これ以後スバルスポーツの話題は聞かないのでやはりこれは単なるショウ向けの試作車で終わったようだ。
だがおそらく水面下ではいろいろな試作車やスポーツカー構想もあっただろうが、このスバルスポーツの開発が発展的に続いていたら、例えばポルシェのような、例えばミニ?フェラーリのような、そんなスポーツカーが出来ていたかもしれないと考えると、うきうきするようなロマンではないだろうか。
同じ'61年のモーターショーにトヨタもスポーツカーを出品しているのでこの次はそれを紹介する。