2011年08月20日

ロータリーエンジンの謎

 ファミリアロータリークーペの記事を書いているうちに、ロータリーエンジンの謎、にはまってしまった。ただこれは初めてロータリーエンジンを見たときから私には謎だった。

 ロータリーエンジンの排気量って少なすぎるよね。 なんで?

 今の日本の自動車技術は世界一と言ってもいいくらいだが、当時はまだまだそうではなかった。だから私は性能の割に排気量が少ないというのは何かトリックがあるのではないかと思っていた。

 4サイクルレシプロエンジンの場合、排気量とはシリンダ容積のことを言う、これは円筒形の体積の計算で簡単に出る、これはオットーサイクルの(吸入、圧縮、爆発、排気)1サイクルで排気する量にあたる、これに気筒数をかければ良い。
 ここで一つのことわりは1回転で何回爆発(排気)するかなんてことはは関係ない。
 だから2サイクルエンジンの場合も同じだ、上死点から下死点までの容積で表す。
 もう一つ、ミラーサイクルでも同じ事だ。

 さてロータリーエンジンはどうだろう、トロコイドとか言う楕円形のハウジングの中を三角形のローターが回転する、このハウジングとローターの隙間が大きくなったり小さくなったりすることで、吸入、圧縮、爆発、排気の1サイクルをローター1回転で3回完了する。
 レシプロと同じように考えれば、その隙間の最大容量から圧縮時の最小容量を引けば良い、そして三角形のローターだから3を乗じれば1ローターエンジンの排気量が出る。2ローターなら更に2をかける。

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 と、私は考えるのだが、どうもそうではないようだ、おそらく、例えばファミリアロータリークーペの10Aエンジンの491×2という場合の491ccというのは3をかけない一つの作動室つまり隙間の容量なのではないか、だからたった982㏄のエンジンが110馬力も出せると言うことになるのだ。
 余談ながら、最新の235馬力もでる13B-NSPエンジンでもたった654×2=1308ccなのだ。

 これが私には謎なのだ。

 これにはエキセントリックシャフトがローターの3倍回転するので1回転1回の爆発(排気)だから、という理由が付いているようだが、レシプロエンジンの場合は、


 そんなのカンケイねぇ。(また古いギャグ)


 つまり、これは誤魔化しと言うことではないだろうか。

 当時の通産省と税制の問題で一悶着あったとの噂がある、これは結局5割増しで決着した。レースの方では2倍ということになった。

 こうして誤魔化しても、キャロルロータリーは実現しなかった、300㏄の1ローターロータリーエンジンは450㏄と見なされたからだ、当時の軽自動車は360㏄以下でなければならなかった。


 ちなみに、私の換算では実に900㏄と言うことになるんですけど・・・。

posted by 健太朗 at 22:28| Comment(12) | TrackBack(0) | マツダの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月15日

走るというより飛ぶ感じ・ファミリアロータリークーペ 2

 さて、ロータリーエンジンの高性能の秘密はどこにあるのか。

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 レシプロの4ストローク1サイクルガソリンエンジンはピストンが2回往復(4ストローク)するあいだに吸入、圧縮、爆発、排気の1サイクルを完了する(なぜかこれを4サイクルエンジンという)、従ってクランクシャフトが2回転(720度)する間の2分の1回転(180度)分しか動力を得られないわけで、4気筒の場合1回転するあいだに4つの気筒のうちどれか1つが爆発して動力を発生しているわけだ、だがロータリーエンジンの場合は1つのローターが1回転するあいだに3回爆発するわけで、ただレシプロのクランクシャフトに当たるエキセントリックシャフトはローターに対して3倍の回転をするようにしてあるので、EXシャフトが1回転で1回爆発することになる、ファミリアのエンジンは2ローターなので、つまりエンジンが1回転するあいだに2回爆発することになる、だから2倍の力が得られるという説がある。

 しかしこれには異論がある、そもそもロータリーエンジンはおむすび型ともいうが3角形のローターが回転するので燃焼室が3つあることになる、であれば2ローターでは6気筒と同じだ、なので4気筒と比べるのは適当でないという、だったらレシプロの6気筒エンジンはどうかというと2回転で3回爆発することになる。
 それなら6気筒エンジンはもっと性能が良くなければならないということになる。

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 内燃機関であるガソリンエンジンは燃料を爆発させることによって動力を得る、というのが当たり前だが基本だ、これはもちろんロータリーエンジンでも同じで、つまり理想的な比率のガソリンと空気(酸素)の混合ガスを出来るだけたくさん吸い込んで、これを充分に圧縮して大きな爆発力を出来るだけ短時間に得られると性能は良くなるわけだ、そのためには充分な排気も必要だ、キーワードは、吸入、圧縮、爆発、排気。


 だがしかし限界というものがあるし機械である以上機械ロスもある、一長一短はあるが、ピストンの往復運動を回転運動に換えるレシプロエンジンより、元々回転運動であるロータリーエンジンの方がその限界が高いところにあるのだ、その証拠にロータリーエンジンは性能が高い分、大食らいだったのだ。


 そのことがあのオイルショックを境にロータリーエンジンの悲劇が始まる原因だったのだ。
 最も最近では少ない燃料でいかに効率よく高性能を得るか、という技術がレシプロもロータリーも排ガスなどの公害対策に大いに役立っている。


 とすれば、私のような素人が言うのも何なのだが、東洋工業がコスモはともかくファミリアロータリーにはびっくりするほど高性能なエンジンではなく、セダンの4気筒エンジンより少しだけ高性能で経済的なコンパクトエンジンとして売り出していたならば、ロータリーエンジンの今、はずいぶん違ったものになっていたのかもしれないと思うのだが、どうでしょうね。

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posted by 健太朗 at 11:51| Comment(6) | TrackBack(0) | マツダの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月14日

走るというより飛ぶ感じ・ファミリアロータリークーペ 1

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 私にとってファミリアは親しいクルマである。


 初めて自動車屋に就職した頃は初代SSAの全盛期、あれ以来私の仕事の中でファミリアに出会う機会はつとに多かった。
 そして四代目ファミリアAPは中古車を買って3年半ほど乗ったし、五代目BD1051型には5年6万キロほど乗ったが、それ以降のファミリアは最後の九代目まで、もちろん自動車屋として関わることは多かったが、私を魅力することはなかった。だがファミリアは総じて日本人のファミリーカーとして最も適したクルマの中の一台ではなかったかと思う。
 これほど親しんだファミリアのなかで、どれか1台というなら新車を降ろした五代目BDだが、これはいずれお話しするとしてこれ以上に今でも印象に残っているのが二代目のボディを

使ったファミリアロータリークーペだ。

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 ファミリアセダンの後半分をクーペバージョンに換えてロータリーエンジンを載せたもの、お世辞にもかっこいいとは言い難い、ふだん飲み屋で焼き鳥なんかつついているお父さんがださいスウェットなんか着込んでマラソンに出るようなものだ、だからファミリアなのだ。


 ところが乗ってみるとこのロータリーエンジンのおかげでイメージは一変する、低速ではフレキシブルで使いやすいがちょっとトルク感が少ない、だがスロットルを開けてやると力強くモーレツに加速する。モーレツ、なんて古い言葉だ。
 とにかくよく走るというのが当時のロータリーエンジン車のイメージだ、どこかに書いたと思うが、次のカペラロータリーなどは直進でもおしりが振るほどの加速を味わえた、ファミリアはそれほどではないにしても夢のような走りを体感するのは容易だった。

 当時のファミリアのキャッチコピーが「走るというより飛ぶ感じ」、走りが良いと言いたいのだろうが、実は足回りが柔らかくふわふわで、高速になると文字通り走るというより飛ぶ感じだったのだ。

 カールベンツが三輪のガソリンエンジン車を創って以来、世界中の自動車はほぼ一貫してピストンの往復運動を回転力に換える、いわゆるレシプロエンジンを使ってきた。
 そのカールベンツから80年余を経てピストンを使わないエンジンを、日本の東洋工業が実用化するというのだからどれほど期待されたかを想像してほしい、あの文字通りのファミリーカーが流麗なクーペになって、戦闘機のようなダッシュボードを与えられている、しかもそれまでのレシプロエンジンよりはるかに性能が良いロータリーエンジンが載っているというのだから勢いアツくなる。

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 セダンの987cc 58ps/600rpm 7.9kg-m/3500rpmに対して491cc×2 100ps/7000rpm 13.5kg-m/3500rpmと、ほぼ同じ重さのボディを倍近い性能のエンジンで走らせるのだから、ぶっ飛んで当たり前というものだ。

 

                                           

posted by 健太朗 at 14:43| Comment(4) | TrackBack(0) | マツダの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする