2017年03月01日

カタログコレクションから・ライフステップバン

  自動車大好き少年だった私、自動車屋を退職して何年も経った今でもクルマのことばかり考えている、そんな私にもまだまだ知らないことだらけで、毎日楽しい想いをしています。


今回、ホンダライフステップバンのカタログを紹介するに当たって、手持ちの古い自動車雑誌などに目を通していると、ライフの水冷2気筒エンジンで採用された、一次振動を消すためのバランサーシャフトは、スバルの前身である中島飛行機出身で東急くろがね工業をへてホンダに転身した中村良夫さんがくろがね時代に開発して特許を取ったものだと言うことを知りました。

バランサーシャフトはその後、ミツビシギャランやダイハツの3気筒エンジンに採用され、いまでは当たり前の技術になっていますが、中村さんといえばホンダスポーツ500T360の開発責任者の他、昭和39年にスタートしたホンダのF1参戦の初代チーム監督として知られていますが、本田宗一郎おやじさんとの空冷エンジン論争に端を発する軋轢も伝わっています。

その中村さんが後にライフのエンジンに携わってあのやかましくてよく走るN360からむっくり静かなライフに変ったのもむべなるかなの思いですね。


さて、そのエンジンを積むライフステップバンのカタログです。


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このカタログは昭和486月のものですが、ステップバンは479月にデビューして、49年中にはホンダの軽自動車撤退で姿を消すまでに18千台余りしか造られなかったレアもので、そのうち1,100台ほどはライフピックアップだそうです。

平成247月にはN-BOXが発売されてバストセラーになっていますが、そのルーツは40年前にたった2年程造られた、当時の軽自動車で唯一のトールワゴンだったのです。


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ライフの車台とエンジンはそのままに、セミキャブオーバーとも言うべき今で言う軽トールワゴンを載せています。

特徴はなんと言っても短いノーズに四角いキャビンでしょう、5ドアですが後ろは上下開き、最近見なくなりましたがとっても使いやすいテールゲートです、サイドの前後ドアは同じドアパネルを使っているという合理的なつくりですね。

ダッシュボードの上は平らな板になっていて、ペン立て付きの机になりますから商業車として使う場合はとても便利です、また助手席がわには大きなグローブボックスというより台所にあるバットのような物入れがありますから何でも放り込めます。

前輪駆動ですから床は低く、荷台も平らですからN-BOXよりひろびろとしています。


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当時の軽商業車はキャブオーバーバンが多く、ボンネットバンは余り人気でなく、ステップバンのような前輪駆動にたくさんの荷物を積むというような発想が斬新で、しかし反って敬遠しがちだったのでしょう、その評価は後の時代に持ち越されたのです。

私もダッシュボードの机には驚いたものの、「こんなんに荷物積んだらジョイント逝かれてしまう」などと言ってはばからなかったものです。

その時は後の世にFFトールワゴンが全盛になるとは夢にも思っていなかったのです。


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ライフピックアップ

posted by 健太朗 at 22:07| 京都 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | ホンダの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月09日

ホンダ1300クーペ

  クーペというのはフランス語で「切られた馬車」という意味らしいですね。

 2人用の屋根付き馬車で、途中で切った形の個人用なので御者の座席もないものが多いといいます。

 自動車の場合はわりに曖昧で2ドア2シートのみならず2+2や4ドアクーペなどというものもありますが、おおよそ2人用のスポーティーでかっこいいクルマを挿すようです。

 私はやっぱり美しいクルマでないとクーペとは呼べないと思っています。

 外国にも日本にも美しいクーペはいろいろあります、しかし時代によって美しさを感じる人の目は違うようで、今、美しいクーペを数十年前の人が見ても美しいとは言わないかもしれません。

 そして、今の人が昔のクルマを見て、今でも美しい、というクルマが当時は不人気だったという場合もあります。

 私は、フォルクスワーゲン・カルマンギアは美しいと思うしマツダR360も十分美しいと思っています、しかし、現代のようにコンピュータで無駄なく創られたクーペはアストンマーチンやマセラティのようなお高いクルマでないと美しく見えないのはどういうわけでしょう。

 

 さて前置きが長くなりましたが、ホンダ1300クーペというのは美しいと思いませんか、私は市販された国産クーペの中では最も美しい一台だと思っています、 日本のクーペにはデザインにお金を使った美しいクーペも多いのですが、なぜか市販されなかったり発売された時点では不細工になっていたり、というものも目立ちます。
         

 

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 ホンダ1300クーペはホンダの社内デザイナーの作品だと聞きますが、そして、作りやすさを考慮した合理的なデザインですがホンダらしい美しさがあると思っています。

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 本田宗一郎親父さんの時代のクルマって感じがして好きですね、わたしは。

   

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 本田宗一郎親父さんらしさというのはメカニズムにも見られます。

 まず何と言ってもあのDDACエンジンです、親父さんのこだわりでどうしても空冷式エンジンということで水冷式のウオータージャケットの部分に冷却水ではなく空気(強風) を通して冷却するというメカニズムで、DDACはデュオ ダイナ エア クーリング システムというのです。

 親父さんは「ラジエターを空気で冷やすのだから初めから空冷にすればよい」と仰って、空冷派だったそうです、確かに空冷はラジエターがない分、重量が軽く出来ますし、部品点数が少なく故障も少ないというメリットがありますが、自動車というものは水冷式エンジンで発達してきましたので水冷式と同じように使えないと売れないのです。

 例えばヒーター、エンジンの排熱を利用して車室内を温めるのですが、これが空冷ではうまくいかないのです。

 また、エンジン内の高温部と低温部の平均化が出来ないので、F1レースのフランスGPでのRA302のようにエンジンが炎上するようなこともあって一般の評価が分かれたのです。

 しかし、そこの所をうまく設計してしまうのがホンダの技術の優れたところで、まずまず普通の乗用車として静かで扱いやすく、技術的な問題はなかったのですが、結果、重量が重くなってしまったのと、もう一つ、ホンダの初期のエンジンに共通するのは高回転・高性能だというところで、このクルマに乗った人は例外なくぶんまわすものですから暫くすると、弱いエンジン、のレッテルを張られてしまったのはこのクルマの不幸でしたね。

 

 私も初期型に乗る機会があったのですが、ほんの短い距離で時速100kmに達する高性能ぶりを楽しむことが出来ましたが、お客様にしばらく乗ってもらって3万kmも走ったころにはがっかりするほど疲れたエンジンになっていたことを思い出します。 

 サスペンションにも凝ったメカニズムがあります、クロスビーム式独立懸架というホンダ独自のメカニズムがリアサスペンションに採用されていました。

 これは、トレッドいっぱいにクロスさせた長い車軸をリーフスプリングで吊り上げた構造で,キャンバー角の変化が少ないことがメリットでした。

 また、フローティングジョイントと言って、ビームが上下してもリーフスプリングのねじれがビームに伝わらない構造で、常にスプリングを安定させるというものです、高速コーナリング時の安定性を向上させ、FF特有の性質であるタイヤのイン巻き込みを利用して直進安定性を向上させたという狙いがあったのですが、DDAC空冷エンジンが重たいのでアンダーステア強く、必ずしも評判が良くなかったのですが、私などは、これくらい癖があるほうがFFらしくていいなと思ったものです。

  

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posted by 健太朗 at 11:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ホンダの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月12日

なぜか気になるN-ONE

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 N-ONEの受注がすでに25千台を超えたという。
 フロントグリルを似たようなデザインにしたからといって、あのN360をモチーフにしたとは片腹痛い、そもそもN-ONEという名前だが、MINIを真似たN360、そのN360の復活とばかりに今度はMINI-ONEの名前を真似てN-ONEだって。

 まったくひとを馬鹿にしている、と思いながらなぜか気になるホンダの新型車である。

 軽自動車の"今"はトールワゴン一辺倒、ワゴンRやムーブ、N-BOXなどの箱に飽き飽きしてるところにちょっと新鮮な風、というところか。それでもけっこう背が高いという。

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 私のような団塊の世代にN360は青春の想い出というひとも少なくない、初めて乗ったクルマがN360だったという人も多い。
 そういう私にとって、そんなクルマはスバル360なんだけど、メカニックとしてまったく新米のころ、いやというほどN360にはお付き合い願った。

 自動車メーカーとして最後発のメーカーが創るクルマ故の整備性のいまいちなことや、サービス体制のまだ整わない時期のドタバタ劇を経験して、あまりいい想い出はないのだが、今にして思えばすごい歴史的な、偉大なクルマに出会っていたことがよくわかる。
 オートバイのエンジンを無理矢理四輪車に乗せて無理矢理走らせてしまおう、操縦安定性もなにもあったもんじゃない、うるさくてもすっ飛ばせればいいという、まったくメーカーの身勝手を絵に描いたような商品だが、、これが大ヒット、発売からわずか2年足らずで25万台、総生産台数は65万台に達し、その後の軽自動車に与えた影響たるやものすごいものがある。
 高馬力、高回転、高車高、広車内、そして低価格、他の軽乗用車のすべてがN360に影響を受けざるを得ない状況になってしまっていたものだ。

 だから2011年の東京モーターショーに展示されたNコンセプトの画像を初めて見たとき、まったくひとを馬鹿にしている、と思うと同時に、これはヒットする、とも思った次第である。
 しかしN360のオートバイのエンジンやドッグミッション、それに当時まだ珍しかった前輪駆動など画期的なメカを持ったクルマだったのに対して、ライフとの違いがもう一つ見えてこないN-ONEが、それでも魅力的に見えるのか、N360が偉大なクルマだからN-ONEが気になるのか、機会を見つけて一度試乗してみたいものだ。

posted by 健太朗 at 22:49| Comment(7) | TrackBack(0) | ホンダの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする