2010年06月26日

カタログコレクションより・ベレットGT

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 いすゞの乗用車と云えばヒルマンを思い浮かべるのだが、べレルやベレット、それに117クーペなど美しくすばらしい車たちがあった事を思い出して欲しいものだ。
 今回は私のほんの少しのカタログコレクションの中から、ベレット・スポーツクーペグループを選んでみた。

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           1600GT

 ベレットは昭和38年、ヒルマンの後継車として売り出された1300・1500㏄4ドアセダンで寸法から見るとラウムより短く、全幅は今の軽自動車よりほんの2Cmほど広いだけの小さな車だが当時は結構大きく感じたもので、当時のコロナやブルーバードともほぼ同じ大きさだった。

 そして翌る昭和39年、東京モーターショーに展示されたプロトタイプがベレット1600GTとして発売された。

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        1500GT

 このカタログは発売当初のもので、1500GTや1500クーペもラインにある。
 エンジンはヒルマンのものを流用、GTにはSUツインキャブを採用しているがヒルマン同様かなりフレキシブルなエンジンだ。

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 サスペションはフロントダブルウィッシュボーン、リヤは横置きリーフのスイングアームで、ステアリングギヤに当時はまだ珍しかったラックピニオンを採用していた。
 この組み合わせは今では考えられないくらいユニークなもので、事実べレGの操縦性は 「ひとくせある」 と表現される事が多かった、私の記憶ではかなりのオーバーステアでそのくせロールが大きく後ろが流れるという印象だ。
 またこのラックピニオンのブッシュが弱く、フロントタイヤの動きに合わせてガタゴトと異音が聞こえるというのがベレットというくるまの思い出についてくる。

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   ハンドルが歪んで見えるのは写真のせいではない、ギヤボックスが中央寄りになっているのだ。

 なんだか最近のクーペモデルは美しいという形容が出来ないくらい機能的なデザインになっている、まさにコンピューターの申し子になってしまっているような気がする。
 この時代は人間の感性でデザインされていたのだろうか、ハード面での制約が今より多かっただろうから今より難しかったと想像するのだが、それにしてもこのベレットGTやホンダ1300クーペなど美しいクーペがたくさんあったと思う。だからといってこのデザインを現代によみがえらせようとしてもとても想像だに出来ないが、私はクーペという言葉に「美しい」とか「華麗」「流麗」というイメージがくっついているのだが、このベレットクーペと例えば今のニッサンGT-Rと比べてどうだろうか。

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       1500クーペ

 ベレットGTはその後、マイナーチェンジを繰り返しツインカムエンジンの1600GT-Rや1800GT、さらにはあまり美しくないファーストバッククーペなどを次々と発売した。


 そして鈴鹿12時間耐久レースでの優勝をはじめとして数々の戦績を残し、昭和46年の東京モーターショーにスポーツワゴンを展示、これを最後に、日本のGTグランツーリスモの草分けとしてスポーツカーシーンの座を117クーペに譲っていった。

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 このカタログの一文に「〈無理〉、こんな言葉は知りません。」と題してこうある、
  「ベレットGTのシートにかけてみてください。ギヤシフトレバー、ステアリング、さまざまなスイッチノブ‥‥全く無理を感じさせないポジションに配置されています。視覚をもたないパノラミックウインドウはドライブに疲労を覚えさせません。 メーターパネルはシャープで、スピードメーター、タコメーターはステアリングホイールの中央に並び、オイルメーターはじめ計器、スイッチ類はコンソールにデザインされております。ベレットスポーツクーペ・グループの運転席に是非一度おかけください。」。

 当時のスポーツカーはやっぱり 「心情的スポーツカー」 だったのだろうか、最後のページには 「とばしてください。きっと満足していただけます。ディスクブレーキも用意しました。」。

 名神高速が日本で初めて栗東・西宮間で開通し、マイカーブームが始まった、しかしまだ自動車という機械が充分成熟していなかった、ややこしい時代の美しいクーペだった。

posted by 健太朗 at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | いすゞの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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