2009年12月30日

お兄ちゃんの軽トラ・ホンダT360

45万9千円で買える世界最小のスポーツカーは総アルミ合金製水冷4気筒ツインカム4連キャブレター、たった500㏄で100マイルのスピードが出せる。

 

こんな風に憧れの言葉を並べるときりがない、そしてあの、時計のように精密と言われたホンダオートバイのエンジン音に通じる機械的にして肉欲的な、そして官能的なフリクションを伴った甲高いサウンドが、自動車大好き少年を虜にして放さない。

 

とはいうものの当時の新米メカニックにとってそれは高嶺の花以外の何者でもなかった。

 

 

兄が乗っていたコニー360もそろそろ買い換え時が来ていて、しかしコニーもすでに2代にわたって乗ったし、さあどうしよう、とお兄ちゃんから相談があったのは私がホンダスポーツ500と本田宗一郎親爺さんに強い憧れを持っている頃だったから、当然のようにホンダT360を候補に挙げた。

 

T36001

 

ホンダT360という軽トラックはあのホンダスポーツ500の原型となった、ホンダスポーツ360のエンジンをドライバーシートの下、つまりミッドシップに乗せたとんでもないスポーツ軽トラックなのだ。

 

お兄ちゃんには決して評判は良くなかったが、私は何かと理由を付けてはこの小さなスボーツトラックを乗り回した。

素晴らしいレスポンスとあのスポーツ500と同じサウンド、ただ堅いだけのサスペンションと絶対にグリップがよいとは云えないバイアスのトラックタイヤ、しかしめいっぱいのトレッドでふんばったデザインがこれをカバーする。

 

T360

 

床から生えたオルガン式ブレーキペダルと小さなアクセルペダルをヒールアンドトーで踏んづけて右手シフトレバーで思いっきりエンジンブレーキをかけてやると、まるでサーキットにでもいるように錯覚する。

 

だが、上り坂と重い荷物にはめっぽう弱い。低速トルクの弱いエンジンはこんな時、ギヤを落として思いっきり回転をあげてやらなければならない。そして、

 

1年もたった時、エンジン音はがさがさ、ウォーターポンプやオイルポンフはがたがた、見るも無惨に疲れ果ててしまった。これを防止する為にはスーパーカブのように千キロでオイル交換をしてやらなければならなかったのかもしれない。

 

こうしてお兄ちゃんのホンダT360は初回の車検を受ける前にダイハツハイゼットに替わっていった。

posted by 健太朗 at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 軽トラの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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