2009年03月29日

国産外車・フロンテ800

 スズキのスプラッシュというクルマはハンガリー製だとか、何でもシートもスプリングも堅く、ちまたの日本車とはひと味違うらしい。


   スズキにはその発展途上でそこいらの国産車とはひと味もふた味も違うクルマがあった。

 

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 フロンテ800である。


 

 

 

 

 

 

 

 当時の国産車の中にあっておよそ日本人がデザインしたとは思えないほど垢抜けしたクルマで、「国産外車」とあだ名されることもあった。
 事実、ミケロッティのデザインではないかと噂されたこともあったが、本当はスズキの社内デザインだったそうだ。

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 当時のスズキ自動車はフロンテやキャリーの成功で高度成長のまっただ中にあり、それらの軽自動車の技術を小型車に生かして設計されたのがフロンテ800だ、水冷2サイクル3気筒785ccエンジンを前、先端に積んで前輪を駆動するつまりFF方式であった。

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(写真左が前)

 

 

 

 先端といったのは、通常ラジエターがエンジンルームの一番前に位置するのが普通だが、フロンテ800のラジエターはエンジンの後ろに位置していたのだ、これは重量バランスと空間利用の為にそうしたのだろうが、ドイツのDKWやサーブなどの2サイクルエンジンの先駆者もこのようなレイアウトだったからそれにならったというのが本当のところだろう。

   
 サスペンションも、前ウィッシュボーン、後トレーリングアームといった当時としてはユニークなものだった。

 

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 私自身、数回お目にかかることがあったが、軽自動車のそれと違い、2サイクル特有のばらついた「たたん、たたん」という音が気にならないほど静かで軽快なエンジンで、なかなかの走りだったし、のり味も現代のクルマに似た堅めのものだった。
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  そして室内のデザインもヨーロッパ車の雰囲気を持ったシンプルなデザインだったが、他の国産車に慣れた目にはちょっと変わったものに映った。

 

 それを端的に表すように、フロンテにはもう一つのあだ名があってそれは「げてもの」と言われた。
 昭和42年頃の標準はコロナやブルーバードに代表されるFR車、つまり前に4気筒エンジンを積んで長いプロペラシャフトを介してリジットリーフの後輪を駆動する、という堅牢にして無骨なメカを持ったものだった。
 このような無骨なメカを持ったクルマたちでさえ、今とは比べられないくらい故障が多かったのだ、軽自動車はともかく、小型車に前輪駆動や2サイクルエンジンやヨーロッパ風のデザインなど当時のユーザーには受け入れられない要素だった。

 

 更にこのクルマの寿命を縮めたのは燃費の悪さだった。
 当時の街中で私が乗っていたコロナで10Km/l前後だったし、所長のヒルマンも同じくらいだったが、フロンテはそれらよりもまだ悪かったようだ。

   ちなみに三菱の日本初のファーストバック大衆車であるコルト800も2サイクル3気筒を載せていたが、ほとんど発売後すぐに4サイクル4気筒に載せ替えられたが、これも燃費と白い煙が小型車として受け入れられなかったことが原因だったのだと思う。

 

   しかし今見ても美しいこのフロンテ800が大して多く作られず、たった3年あまりで姿を消したのは残念で仕方がない。
   現在では博物館でしかお目にかかれないだろう。

posted by 健太朗 at 13:20| Comment(2) | TrackBack(0) | スズキの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フロンテ800 美しい車ですね。
時代の流れの中で突然異色な魅力を持ったものが現れる事がありますね。
そして短命だったりしてより輝いたりして・・

私は現物を目にすることはありませんでした。

現存する国産乗用車メーカー製の車でスズキとダイハツはまだ所有したことがありません。

かつてフロンテクーペ(360時代)に強く惹かれましたが縁がありませんでした。

今はスイフトに興味があります。

複雑な VTEC でなくても キビキビPOWER 出せますよ ホンダさん と言っているような気がしなくもない私の中のスズキであります。
Posted by なめネジ at 2011年04月09日 23:56
健太朗です。
なめネジさん、毎度コメントありがとうございます。

ホントにそうですね、あのフロンテ800のエキゾチックな魅力は今、スイフトに受け継がれているような気がします。
最近ヨーロッパの、例えばフィアットチンクやアウディA1、シトロエンC3、DS3など、魅力的な小型車が目に付きますが、これらのエキゾチックな魅力に肩を並べられる日本車はスイフト以外にないのではないかと思っています。あのホンダでさえ最近は日本車独特のださい雰囲気があります、といったら一言多いでしょうか。
スイフトは元はカルタスの輸出名だったのですから、さもありなん、というところでしょう。

ちなみにスイフトのエンジンにはホンダのVTECと同じようなメカニズムのVVTを採用しています、スズキはなぜか弱小メーカーのように思われていますが、その技術力は一流で、ちょっと軽自動車のイメージが強すぎるだけなんですよ。
Posted by 健太朗 at 2011年04月10日 22:46
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