2009年02月07日

父ちゃんのチェリー

   ヒステリックとかスパルタンという言葉を雑誌のカーインプレッションに見なくなって久しい。
  チェリーX1はそのスパルタンなクルマの代表ともいえるくるまであった。


        X101_2

 

 昭和41年、サニー1000はパブリカ800の対抗馬として世に出たが、トヨタはこれにカローラ1100を当ててきた、そして「プラス100の余裕」とキャッチフレーズし、あっさりとこのクラスの首位を奪ってしまった。
   これに対し日産はサニーを1200にして一回り大きくし、「となりのクルマが小さく見えます」とやったものだ。


  となると、やはりもう少し小さい、リッターカーと呼ばれるものが必要になってくる。パブリカも44年には1000ccに変身していたからである。


         X102
 

こうして昭和45年に現れたのがチェリー1000である

 日産はこの車に前輪駆動を選んだ。エンジンミッションを二階建てにしたイシゴニス方式だ。しかもエンジンはオースチンの流れをくむA型4気筒だから、ボンネット内の景色はミニとそっくりだった。


          E

 

 この頃まだ前輪駆動はホンダやスバルなど数車しか無く、げてもの扱いをする人が多かったし、トヨタや日産などの大メーカーはやらないだろうと思われていたのだが、日産にとってはトヨタに先行してFF車を開発することには大きな意味のあることだった、合併して間がない旧プリンスの技術を生かし、新しい販売チャンネルを作る事が出来たからだ。


  そしてトヨタが初のFF車、ターセル・コルサを発売するのは8年も後の昭和53年のことになったのだから。

  
  チェリーのスポーツタイプ、X-1はプリンスでの開発コードネームをそのまま受け継いでいる。
  私の友人の父ちゃんこと I 君が乗っていたのはこのX-1で、しかも48年に追加発売されたチェリークーペであった。  
  私がスパルタンと表現するのはまさにこのクルマのことで、SUツインキャブの荒っぽい飛び出し感と、車両重量655kgに80psと言う強烈な馬力加重の加速感でまさにじゃじゃ馬を乗りこなすという印象が強いクルマだった。
          01_2

 

  ある時、父ちゃんのチェリークーペを運転して京都北部のワインディングロードを走った。


 もちろん私はFFの癖というものを知らないわけではなかったが、チェリークーペの扱いにくいほどにふけ上がりのいいエンジンと軽い車体は、ドライバーがカーブの途中で怖がってブレーキペダルを踏んづけようものなら、一気に姿勢を崩してしまう。


  そのときこの父ちゃんは助手席で笑いながらおもむろにFFの走り方をレクチャーしてくれたものだ。
 曰く、「カーブの手前で十分速度を落として、パワーオンでカーブにはいる。スローインファーストアウトだ」と。
「そんなことはわかってる」とは言いながら彼の言うとおりにやってみる。

 だがそれでもカーブの後半、速度が上がりすぎてつい右足をゆるめてしまうのだ。
それでもまた横から叱咤激励の声が飛ぶ、「もっと踏め!」。

 
 当時のFF車、例えば、シビックやスバル1000、ミニやN360などに乗っておられた方には解っていただけると思うが、本当の意味で前輪駆動のドライビングを私はこのクルマで覚えたような気がする。  
  現在の前輪駆動車では、全く癖は無く、言われなければFFかFRか判らないほどに進化した。だからこんな話はわかってもらえないだろうし、また全く必要のないテクニックになったのだ。


 これは実にすばらしいことだと思うが、ちょっと寂しい気がしないでもない。

posted by 健太朗 at 22:24| Comment(7) | TrackBack(0) | ニッサンの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
チェリーX-1は我がスバル1000S、1300Sの路上での好敵手でした。
当時私が感じていた、自動車会社の中で一番保守的なニッサンとしてはかなりがんばったんだなと言う車種、チェリーでありました。
FWDの基本的なレイアウトと構成要素がほぼ出揃った時、トヨタに先んじて出したニッサンFFと言った感じでしょうか。
そしてこの次の世代ぐらいから、だんだん素人がボンネットの中を弄ったりできなくなってき始めた次期でした。


今、日産ラルゴというミニバンに乗っていますがトラブルに見舞われています。
極寒の時期にヒーターが効かないと言うトラブル。
ディーラーのサービスマンは貧乏ユーザーに13万何がしの修理費を通告しそんな古い車修理してもしょうがないよと言わんばかりです。
聞いても詳しい説明はしてくれません。
おまけに点検時、樹脂の部品を無理やり開けたと見えて爪を折ってしまい両面テープで止めるという技術まで披露してくれました。

原因は微小なクーラントのリークがありやがて水位が下がり、高い位置のヒータ熱交換機にエアをかんで、以後液を補充してもヒーターが効かないといったところでしょうか。


結局自分でLEAK STOPケミカルをいれエア抜きをして、さてこの夏を無事に乗り切り退役するまでがんばれるでしょうかと言ったところです。
まあディーラーがLEAK STOPケミカルって訳にも行かないでしょうが・・・・

と言うことでこのごろニッサンに対する心証がよくない私です。
Posted by なめネジ at 2011年05月14日 18:30
健太朗です。
なめネジさん、毎度コメントありがとうございます。

 そのころ、「技術の日産、快適のトヨタ」という言葉がありました。
 その言葉の意味はともかく、サービスマンいや修理工の中に現実的な社会的地位の割にはおごりのあるものが居りました、特にその技術を誇りに思うものにはその傾向があったのではないかと思います。
 恥ずかしながら私もその一人だったでしょう。
 しかし今は修理工や整備士などとはいわず、サービスマンというように、自動車の整備に携わるものはサービス業なのです。

 とはいえ、自動車のメカニズムは現在に至っても日進月歩、毎日進歩進化し続けております、毎日勉強に励まなければ自動車の整備や修理は実は難しいものなのです。
 それでもサービス業である以上、技術にあぐらをかくことなく、顧客の要望に応え、たとえ難しい修理でも「出来ない」というわけには参りません、特にデーラーが自社のクルマに対して、古いから、と差別をしたり、ましてや顧客の車の一部を壊して誤魔化しをするなどもってのほかです、自動車整備業界の恥です。
 どんなに古いクルマでも、いや古くなればなるほど大事に整備をして自社のクルマは丈夫で長持ちだと宣伝するくらいでなければ、その技術に誇りを持つこなど出来得ません。

 お客様が納得されるまできちんと説明をして、その上でお客様の大事なクルマを預からなければなりません。
 今はもう私は一線を退いた身ですからいち顧客の立場でいえば、そんな信用できないデーラーに修理を依頼するわけには参りません、しかしそのメーカーのクルマをそのメーカーのデーラーに依頼できないとなれば、そんな車に乗り続けることは出来ないでしょうし、次にそのメーカーのクルマを買う気にはなれないでしょう。

 提示された修理見積もりの金額はともかく、そして最終的にその部分を修理するか否かもともかく、もう一度デーラーに出かけて納得できるまで説明を求めてください、どの部分が、どんな原因で、どのように故障しているのか、どのような修理をするのか、なぜその金額の修理代になるのか、一つ一つ聴いてください。
 サービスマンやフロントマンはそれに答える義務があります。
 それでも納得できなければ別の営業所に行くか、メーカーに直接電話をしてください。

 偉そうなことを書きましたが、私自身現役時代お客様にどのように思われていたか、振り返ればぞっとすることもあります、昨日修理したクルマがまた帰ってきたり、事故を起こしたりした夢を見てうなされたこともあります。
 どうか、温かい目で、しかし厳しい目でサービスマンを見てやってください。
Posted by 健太朗 at 2011年05月16日 13:48
まったくもっておっしゃるとおりだと思います。

自動車の専門家であるサービスマンと門外漢のユーザーとは技術レベルや、製品そのものの知識に大きい開きがあるのは当然のことです。

しかし今回の件については、熱源のエンジンとラジエターとヒーター熱交換器とサーモスタットとコンソールのテンプメータセンサー等がどの順で冷却液回路に入っているのかを聞きたかったのですが、話がまったくかみ合いませんでした。

運転中径時的に変化する様子から判断したいと思ってもユーザーの見解など聞くに足りないと言った感じですね。
話をするのが嫌になってしまいました。

以前エアコントラブルで持ちこんだ時、系統図を一式コピーしてマーカーペンで塗り分けて説明してくれた丁寧な対応に感激した経験が有ります。(別メーカーですが)
一個人の資質の差だけとは思えません。

エアコンや冷却系は圧力が関係し漏れる所を直したら次に弱い所が漏れるなどユーザー、デーラー泣かせなトラブルなのでしょうね。
いきおい安全サイドな価格回答をすることになるのでしょうか?

余談ですがエアコンに蛍光液を投入して紫外線でリークをみるなど検査技法もいろいろと感心しました。

またまた余談 REAK STOPケミカルなるものですが、残渣は血小板を連想させ、かさぶた様に容器にこびりついた様子は血栓を思わせます。

それにしても、取り替えたサーモスタットを、お鍋で煮たりしてる我が性分は直らないものでしょうか?
Posted by なめネジ at 2011年05月25日 18:37
健太朗です。

 なめネジさん、サーモスタットをお鍋で煮るなんて、たぶん今までいろんな経験をした方なんでしょうね。

 たしかにエアコンのガス循環系統は高圧ですから、1カ所漏れるような事態になったときには他の部分もすでに弱っているということがあると思います、もちろんエンジンの冷却系でもそのようなこともあるのですが、エアコンに比べればその可能性は低いでしょうね、なめネジさんがおっしゃる微少な水漏れの場合、これは私の想像でしかないのですが、ウォーターポンプのシールから漏れているというのが考えられます。
 これは冷却系の中でも最も弱いところで、ウォーターポンプは消耗品でもあります、これをケミカルで誤魔化すというのは長続きしないような気がします。

 ただ、ウォーターポンプの交換なら、13万もかかることはありませんので私の想像は見当外れかもしれませんね。
 お値段を考えて悪い想像をすればキリがありません、ヘッドガスケットだとか、ブロックやヘッドの製造時に出来る穴をふさいだシール材の腐食だとか、はたまたひび割れまでも考えられなくないといえるでしょう。
 でも、案外ゴムホースに針の穴より小さい漏れがあるのかもしれませんよ。

 つまり、サービスマンが曖昧な説明をするということは、その原因をしっかり把握していないと勘ぐることも出来ます、なめネジさんが愛車を、壊れたらその場に捨ててくる、とおっしゃるなら別ですが大切な愛車に、そんな薄情なことは出来ない、とおっしゃるなら、ちゃんと納得して、きちんと整備をして、なにも我慢しないで、お乗りになることをおすすめします。
Posted by 健太朗 at 2011年05月28日 14:00
健太郎さん
いろいろと教えていただいて有難うございます。
やはりプロ方の知識は本当にすごいと思います。
今回の件はいきさつがあって今年2月末最初の修理を近所の個人経営の自動車屋さんに持ち込みウォーターポンプは交換した後に再発したトラブルでした。
部品、工賃、クーランと代で3万何がしでした。
ミニバンで点検、着脱の工数を思うと安いと感じました。

その後のトラブルは出先であったことと、不信感からデーラーに持ち込むと言う愚を犯してしまったわけです。その後ネットでまったく同じ症状を見つけhttp://blogs.yahoo.co.jp/turtle_auto_factory/32977669.html
今の結論を持ったと言う経緯があります。
爆弾を抱えたままでクーラントを積んで走っていると言う状況です。
冷却水に油が浮くとか排ガスのにおいが変だとかはないようです。

自動車屋さんを信じていない私が原因のようですね。

サーモスタットは最初の修理の時、原因の如何に関わらず交換するように頼みました。

交換したものは80度ぐらいでちゃんと開きました。
機能はしてるようでしたがシールゴムはかなり痛んでいました。
あの強いスプリングを押し開けるメカニズムにまたまた新たな興味を覚えました。
昔ワックス式と??式とあると何かで読んだ気がします。

おっしゃる様に納得のいくきちんとした整備をすることにします。
貴重なアドバイスをいろいろ有難うございました。
Posted by なめネジ at 2011年05月28日 18:32
冷却水系統のトラブルですか。
日産ではないですが、私が以前見た他のブログでも、このようなトラブルがありましたよ。

  http://takeshi-kun.seesaa.net/article/193251345.html
Posted by 43のおじさん at 2011年06月01日 23:24
健太朗です。
43のおじさん、コメントありがとうございます。

そうですね、確かにエアポケットが抜け難いクルマってたくさんあります、アクティやラルゴのようなキャブオーバータイプは冷却系水路が長く、かといって冷却液を多くすればクルマが重くなりますから、水路を細く設計してあることが多いのです。
その代わり、エア抜き用のバルブやコックなどを付けてうまく抜けるようにしてあるクルマもあります、ほとんどの場合、マニュアル通れやればちゃんと抜けるのですが、それでも抜け難いなあ、と思うものもあります、はっきり言ってホンダ車はその傾向があります。

これはキャブオーバーではなく、マークⅡの2500 JZエンジンのクルマですが、なにかのトラブルでヒーター回路だけ、どうしてもエアが抜けないというクルマに遭遇したことがあります。
裏技を使ってヒーター回路に液を満たしても、しばらくすればまたヒーター回路だけ空っぽになるのです。
結局これはヒーターコア(熱交換器、小型のラジエターのようなもの)に針も通らないほどの腐食による穴があったのですが、液が漏れずに空気が入るという不思議な現象だったのです、冷却系はラジエターで90~110kPaという圧力がかかっていますからこれは不思議です。
これもやがて原因がわかりました、ラジエターキャップが劣化して圧力が上がらなかったのです、もしも分解する前にキャップだけ交換していたらヒーターから水漏れが始まったことでしょう。

こういう故障の場合は客様には少なからず迷惑をかけます、2度も再修理で入庫しました、この件では見積りをしませんでしたがヒーターを分解したために思ったより高く付いてしまいました、このようにどうしても見積り段階では原因を特定できない事って割にちょくちょくあります、だからといって高くふっかけてお客様に諦めさせるようなことはしてはいけません。

つらつら思い起こせば我ながら反省の念を禁じ得ません、はい。
Posted by 健太朗 at 2011年06月02日 18:33
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