2008年11月04日

シッカヤハンのスカイラインGT・その2

  お得意先のシッカヤハンに初代スカイラインGTをお買い上げいただいたのは昭和41年のことだ、GT-B、アイボリーと赤のツートンで88万円と記憶している。

 

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  とにかくそれはすごいクルマだった。

 ツインチョークを3機も付けた6気筒エンジンは、グロリアの印象とは違ってスカGの狭いボンネットの中で、まるで獲物をねらう猛獣のように荒っぽく振動し、いかにも走りそうな感じだ。

 
  ただこれだけでスカGにあこがれたものだが、しかしこれはキャブレターを上手に調整してやればなくなるはずの振動だ。

 3つのキャブレターを調整するのは、アイドリング回路を持たないSUツインより楽だが、スロットルは3つだがミクスチャは6つあるのでなかなか難しい。

  ただ最後に少しだけ濃いめの調整をしてこの荒っぽい振動を少し残しておくのがこつだ。

  まだまだ排気ガスは公害ではなく「いい香り」の時代の話だ。

 

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  ディスクブレーキが国産車に採用され始めたのもこの頃で、確かこのスカGがはじめだったと思う。
 だがおかしなことにこの頃、ディスクブレーキはドラムブレーキよりよくきくのだ、という間違った噂が広まった。  
  まだ倍力装置(マスターバックやハイドロマスター)が着かないこの頃、ドラムブレーキより摩擦面積が少ないディスクブレーキは放熱効果がよいとはいえ、低速街中ではドラムより不利なのは明らか。

 
  このシッカヤハンも早速クレームを付けてこられた、ブレーキがきかないという、きかないのではなくきき味の問題だと説明、ブレーキをかけた時のクルマの姿勢を見てもらった、前につんのめるのではなく車体全体が沈むのを見て納得いただいた。

 

 G_01



 しかしまだ問題があった。 

 グリスアップである。

 この頃はどのクルマもそうだったのだが、スカGのサスペンションやステアリングシステムのボールジョイントなどにはまだグリスニップルというものが付いていて、これにグリスガンでグリスを注入する、グリスアップという作業が必要だった。
  グリスアップをするとボールジョイントの中に残っていた古いグリスがブーツにもうけられた小さい穴から流れ出るようになっているのだが、これがディスクブレーキに付着してきかなくなるのではないか、とおっしゃるのだ。

 
  実際にはこのグリスがブレーキに付着することはないし、ディスクブレーキに少量のグリスが付着しても制動能力にはほとんど影響はないのだが、これはより丁寧な仕事をお約束する以外にない。

 
   これらブレーキに関するトラブルはトラブルではなく、とまどいの類だからしばらくしてクルマになれる頃には解決したものである。

 
  とまどいと言えばシフトパターンにもあった。フロアシフトのH型パターンは左の上がローというのが常識的だが、このスカGの場合は左に倒して下がローである、セカンドは右上、その下がトップ3速、更に右に倒して下がオーバードライブ4速である。

 つまりグロリヤのコラムシフトのパターンをフロアに持ってきた、と言うわけだ。

  これだとバックがローの上、つまり左上になるのでうっかりすると間違うこともある。

 現在では安全のためにどのメーカーのクルマもできるだけ同じ操作で運転できるように配慮されているが、この頃はまだ、てんでばらばらの時代だったのだ。

posted by 健太朗 at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | プリンスの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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