2008年07月21日

SIPAとKanjiとチンクェチェント

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(ヌォーバ・チンクエチェント)

 

 

 

                                                                                                                                                                                                                         

 

 

SIPA BALED CLONE (シパ ・バルド・クローン)は個性的なロックバンドである。


 その哲学的な詩は、私のような凡夫には正直判らないところもあるが、だからこそといえるようなサウンドは魅力的である。

 

 リバプールサウンドや、ちょっと前のヨーロッパのロックの香りを漂わせながら、Msnipulatorというパートの島鉄也が演るデジタル音が摩訶不思議でなんだか新鮮な音だ。

 先日、RAGというライブハウスで彼らの演奏を聴いたが、その激しくて強烈なサウンドは、ますますパワーアップしている。
 今はまだ大ブレークとはいかないが、SIPAは、けっこう人気のあるグループで、あるサイトでは「日本人としては類を見ない独自の音楽性で、若くしてカリスマ的人気を誇る新星である」としている。
 SIPAのサイトで視聴していただくとわかるが、団塊の世代が聴いてもすんなり入ってくるサウンドだ。
 http://www.sipa.jp/#

 

 ただし演歌艶歌宴歌にどっぷり浸かった世代にはライブでは歌詞が聴き取りにくい。まぁロックンロールのライブとは昔からそう言うものなのだ。
 私は「Innocence」や「Went to Heaven」などが気に入っている。

 

 SIPAのリードヴォーカルである岩渓寛司は親しい友人の息子で、彼の幼少期、近所に暮らしていたこともあって、私にとってちょうど甥っ子のようにかわいい存在だ。

 そして島鉄也も大塚貴博もまた同じである。

 

 そのSIPAがまだ京都のインディーズ時代、寛司が乗っていたのが、青いFIAT500だった。
 20世紀の終わり頃、和歌山辺りの外車ディーラーで見つけて、衝動買いをしたという。

 若いのに豪快なことをするヤツだ。


 車検証には、「昭和44年式とする」、と書かれてあった。おそらく中古車で輸入されたものであろう、もちろんレストア済みのなかなかきれいなクルマだったが、それでもいろいろ手を入れる必要があった。

 

 このFIAT500というクルマは、600(セイチェント)の縮小版で、ヌォーボ・チンクエチェント(ニュー500)とよばれ、1957年ダンテ・ジアコーザを主任技術者として開発された、そして20年間生産が続けられ、実に400万台をセールスした。
 初代は「ローマの休日」に登場したトポリーノである。

 

 同じ頃ブリティッシュモーターから出たオースチンセブン(後のMINI)でアレック・イシゴニスはエンジンとミッションを二階建ての一体としたが、ダンテ・ジアコーザはエンジン・ミッションを直列につないだ。これは整備性がよく、また生産性にも有利であり、後に前輪駆動になっても貫かれ(ただし横置き)、世界のFFの基礎となった。

 

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(エンジンマウントはたった一つだけ)

 

 

 

 

 

 そのおかげで、チンクの整備性は非常に良く、軽い空冷2気筒と相まって、例えば私がやってもエンジン脱着は30分で出来たほどだ。

 

 彼のチンクもガスケット交換やクラッチOH等いろいろな作業をさせてもらったが、驚くことにこの古いクルマのパーツがインターネットを介してほとんどのものが揃ってしまうという。

 

 そんな条件もあって私はその数年間、楽しい思いをさせてもらった、それはこのクルマがあの1960年代のメカニズムを持ったクルマだからだ。
 燃料噴射ではなくキャブレターで、トランジスタ点火ではなくポイントとディストリビュータで、コンピュータもなくディスクブレーキもなくパワーウィンドーもパワーステアリングもない、もちろんクーラーもなければヒーターだってエンジンの熱をダクトで室内に引き込むだけ、エンジン始動すらレバー式だ。


 どういう事かというと、これは勘と経験、つまりマニュアル通りでなく職人の「うで」を発揮できる、ということ、古くなったメカニックにはちょうど良いと言うこと、自動車が一番楽しく夢があった時代の身体的感覚をよみがえらせることが出来るのだ。


 単なる懐古趣味だといわれるかもしれないが、この身体的感覚はあの時代にメカニックとしての経験をしたものでないとわからないのだろうと思う。このくたびれた自動車屋を楽しませてくれた岩谷寛司とチンクに感謝、である。

 

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(あたらしい500はFFだ)

 

 

 

 

 

 最近発売になったあたらしい500も非常に魅力的で、私自身乗ってみたいクルマの一つであるが、ミニやビートルと同じネオクラシックのジャンルに入るクルマでヌォーボ・チンクとは全く違うクルマだ。

 

 

 庶民が自動車という機械を楽しむなら、あのクラシック・チンクはベストな一台だと思う。 

posted by 健太朗 at 22:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 外車の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
チンク。いいねえ、このクルマはルパンも愛車にしてるな。ローマの休日でブレイクしたのはヘプバーンではなくjespaとチンクかもな。おしゃれ度は最高、おまけに乗るとメチャクチャ楽しい。今の軽自動車よりはるかに非力な500ccエンジンで最高速度は79キロ。その空冷リアエンジンの感覚はくせになる。ワーゲンもポルシェも同じレイアウトだ。ポルシェはかしこいな。このくせになるパッケージを最後まで捨てないで、世界中のリアエンジン顧客をひとりじめ。古い911がほしいな。
Posted by とうちゃん at 2008年08月10日 10:19
とうちゃん、コメントありがとう。
 日本の軽自動車がまだ360の頃、「イタリヤのアウストラーダではFiat500が金切り声を上げて走っている」、と聞いただけでチンクにあこがれたものです。
 なにしろ、アウトストラーダはそのままドイツのアウトバーンにつながっているのですから夢が広がりますよね。
Posted by 健太朗 at 2008年08月13日 21:40
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