2017年03月28日

トヨタ1600GT

3代目コロナRT40はアローラインのコロナで話ましたが、今回はそのバリエーションのひとつ、ハードトップの話です。


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ハードトップというのは「堅い屋根」、オープンカーの幌(ソフトトップ)を取外して鉄板やFRPなどの堅い屋根を取り付けたのが語源で、おおむねセンターピラーのない4座クーペタイプを指し、主にアメリカで人気のあるタイプです。


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昭和40年、国産車ではじめてハードトップを採用したのがコロナで、その後ギャランやセリカなどにも採用されましたが、4ドアハードトップやピラードハードトップなどと言うこじつけたようなネーミングを持ったクルマも現れました。


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私がはじめてコロナハードトップに乗ったときは、オープンでもないのになぜか気恥ずかしくというか照れくさく感じたことを覚えています、窓が小さい旧式実用車に乗り慣れていたせいかサイドウインドーを全開するとそれはもう途方もない開放感をあじわったものです。


モノコックボディの場合、センターピラーを無くすと曲げ・ねじり剛性が低下しますので、フロントピラーやル-フサイドフレームなどの剛性を高めます、すると重量が重くなってしまいますが、コロナのようなクーペタイプですと屋根自体が小さくなったり、ドアも少なくなるので、コロナの場合は4ドアセダン・デラックスより15kg増におさえられています。


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また、ウィンドウを全開にするための工夫で後部のガラスが回転するようにスライドするというアイデアを採用しています。

コロナ・ハードトップは昭和41年、第15回毎日工業デザイン賞を受賞しました。



この車体を使って本格的スポーツクーペに仕立て、2000GTの弟分としたのがトヨタ1600GTです。


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車両形式はRT55、コロナの名は使っていませんがコロナの派生車だと言うことが判ります。

外観でコロナと違うのはフロントグリル、リアグリルの意匠、フロントフェンダーのエアアウトレットそれに砲弾型のバックミラー、フロントグリルとリアクオーターにつく七宝焼きのエンブレム、というところでしょうか。


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実際に走行ってみると9R型ツインカムエンジンとウエーバーツインチョークキャブレターによってちょっと荒々しい走りが味わえます、トランスミッションはGT44速、GT55速です、これは2000GTのパーツを使っているそうです。


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私の自動車屋で販売したクルマはGT5でしたが、コロナ1600Sよりしっかりしたフィーリングで長いシフトレバーですが、スポーティーな感覚でした。

あるとき、このGT5がエンジン不調で入ってきました、4気筒の内1気筒が死んでいる状態です。


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調べてみると3番のコンプレッションがかなり低いのです、お客様にオーバーヒートしましたか?と聴いてみましたが、無いとおっしゃる、それじゃバルブかな、と思ってヘッドカバーを開けてみると、3番インレットのクリアランスがスカスカになっていました、そこでカムシャフトを外してタペットを抜いた瞬間、そのタペットがばらばらに砕けてしまいました。


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恐らくエンジンオイル・ケアが良くなかったのでしょうか、今では考えられない故障でしょうが、まだオイルなどのケミカルが良くなかった時代の話です。

そして今なら、ここでシリンダヘッドを外して業者にお任せするところでしょうが、この頃はヘッドを分解してバルブ交換から摺り合わせ、組み立ててシムを使ったバルブクリアランス調整まで、総て町の自動車屋でやってしまいました。


最終調整をして元のコンディションに戻すまで一週間かかったとしても、なんの苦情も出ないのんびりした時代だったのですね。


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posted by 健太朗 at 22:05| 京都 ☀| Comment(10) | TrackBack(0) | トヨタの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月01日

カタログコレクションから・ライフステップバン

  自動車大好き少年だった私、自動車屋を退職して何年も経った今でもクルマのことばかり考えている、そんな私にもまだまだ知らないことだらけで、毎日楽しい想いをしています。


今回、ホンダライフステップバンのカタログを紹介するに当たって、手持ちの古い自動車雑誌などに目を通していると、ライフの水冷2気筒エンジンで採用された、一次振動を消すためのバランサーシャフトは、スバルの前身である中島飛行機出身で東急くろがね工業をへてホンダに転身した中村良夫さんがくろがね時代に開発して特許を取ったものだと言うことを知りました。

バランサーシャフトはその後、ミツビシギャランやダイハツの3気筒エンジンに採用され、いまでは当たり前の技術になっていますが、中村さんといえばホンダスポーツ500T360の開発責任者の他、昭和39年にスタートしたホンダのF1参戦の初代チーム監督として知られていますが、本田宗一郎おやじさんとの空冷エンジン論争に端を発する軋轢も伝わっています。

その中村さんが後にライフのエンジンに携わってあのやかましくてよく走るN360からむっくり静かなライフに変ったのもむべなるかなの思いですね。


さて、そのエンジンを積むライフステップバンのカタログです。


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このカタログは昭和486月のものですが、ステップバンは479月にデビューして、49年中にはホンダの軽自動車撤退で姿を消すまでに18千台余りしか造られなかったレアもので、そのうち1,100台ほどはライフピックアップだそうです。

平成247月にはN-BOXが発売されてバストセラーになっていますが、そのルーツは40年前にたった2年程造られた、当時の軽自動車で唯一のトールワゴンだったのです。


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ライフの車台とエンジンはそのままに、セミキャブオーバーとも言うべき今で言う軽トールワゴンを載せています。

特徴はなんと言っても短いノーズに四角いキャビンでしょう、5ドアですが後ろは上下開き、最近見なくなりましたがとっても使いやすいテールゲートです、サイドの前後ドアは同じドアパネルを使っているという合理的なつくりですね。

ダッシュボードの上は平らな板になっていて、ペン立て付きの机になりますから商業車として使う場合はとても便利です、また助手席がわには大きなグローブボックスというより台所にあるバットのような物入れがありますから何でも放り込めます。

前輪駆動ですから床は低く、荷台も平らですからN-BOXよりひろびろとしています。


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当時の軽商業車はキャブオーバーバンが多く、ボンネットバンは余り人気でなく、ステップバンのような前輪駆動にたくさんの荷物を積むというような発想が斬新で、しかし反って敬遠しがちだったのでしょう、その評価は後の時代に持ち越されたのです。

私もダッシュボードの机には驚いたものの、「こんなんに荷物積んだらジョイント逝かれてしまう」などと言ってはばからなかったものです。

その時は後の世にFFトールワゴンが全盛になるとは夢にも思っていなかったのです。


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ライフピックアップ

posted by 健太朗 at 22:07| 京都 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | ホンダの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする