家財道具のファミリア

 BD1051は私にとって初めてずくしだった、初めての新車であり、初めての前輪駆動であり、オートマチック、パワーステアリングなど、今なら当たり前の装備が、それまで中古車ばかり乗っていた私をわくわくさせた、おまけに女房の希望を受けて手動式スライディングサンルーフまでおごってしまった、昭和57年のことだ。

Bd105101                                                  

 昭和の高度成長期も終わり、石油ショックと公害対策を経験し、日本のクルマも安心して乗れる時代に入って、この後にバブル経済の大騒動を控えたそんな時代、我が家の家計も少しは安定してきてようやく新車をおろせるようになった。

 ファミリアBD1051を見て驚いたのは四角いボディの後部カーゴルームだ、大きなトランクルームの下にもう一つの荷物室があって、スペアタイヤとジャッキ工具以外にワックスやウエスなどの常備品を入れてもまだ余るスペースがある、私のようにいろいろなものをいつも積んでおきたい人には重宝するするし、トランクルームを空けておくことができると買い物などで非常に助かるのだ。

Bd105104

 事実、家具屋で台所のテーブルを買ったときは、120×90のテーブルとイス4脚を飲み込んでまだ余裕があった、この場合は二人乗車だが5人乗車時でさえ自身のタイヤ4本を積んでトノカバーで隠してしまえるほどだ、しかもこのしっかりしたトノカバーの上にも荷物が載せられる、ファミリーカーとして家財道具として非常に重宝なつくりになっていたのだ。

Bd105107

  冬用タイヤを使う方にはわかって頂けると思うが、タイヤ4本がトランクに積める車は最近なくなったのではないだろうか。

 さらに後席の足元は今のラウムほどではないが、当時としてはかなりゆったりしていたことを付け加えなければならない。

 

 当時の私は、ファミリーカーの条件として、大人4人がまずまずゆったり乗れて、例えば4人が一泊か二泊の旅行に出たとして、必要な荷物と遊び道具、それに帰りのお土産などがしっかり摘めるスペースがあって、4m前後の車体と経済的なエンジンで、100万円前後で買えるクルマ、などと説いていた。

 この車の価格は106万4000円、ただしエアコンはオプションだったのでオーディオと登録経費も入れて120数万になったが、私の想いにおおよそぴったりだったし、ほとんど開けなかったが手回しで開くスライディングサンルーフもお気に入りだった、そういえばサイドウインドも手回しだしステアリングにもまだパワーアシストはついてなかった。

Bd105102

 それほど気に入ってたのに5年余りでカローラに乗り換えてしまったのは、実は以外にも故障が多かったのだ、保証が切れる3年を過ぎたころからオルタネータ、ラジエター、ウォータポンプなどの故障が相次いだ、そしてついにオートマチックトランスミッションに冷却水が混入して路上故障と相成った、さすがにこれはマツダに掛け合ったら部分クレーム対応とでもいうか、格安で修理してくれたが私の気持ちはすっかり萎えてしまった。

Bd105106

 勝手なもので、中古車ばかり乗っていたころは故障したらかえって愛着がわくぐらいだったのに「新車に乗ったら偉そうに」、などと思ったものだ。

 別れてみればその良さがわかってくるというのはカノジョもクルマも同じで、カローラに乗り換えてみれば「なんだこれは!」などと思わせられることがたくさんあった、特に加速や高速での安定感、雨の中の安心感など、走る、曲がる、止まるといった自動車の基本的な部分に当時のマツダの技術力が見て取れた、特にカローラのリヤサスペンションなどファミリアをそっくりまねたような形だがしなやかさだけはカローラだとしてもやっぱりファミリアに軍配だと思った。

Bd105103

 何しろ低迷していたファミリアの起死回生をになって、ほとんど実験車だったルーチェロータリーを除けばマツダ最初の前輪駆動車を世に出したのだから、それはもう力の入れようが違うというものだ。

 今になっても、もう一度あんな車に乗ってみたいと思うこともあるが、残念ながらデザインばかり奇をてらった今のデミオにはあの魅力は感じられないと思うのだがどうだろう。

続きを読む