2011年05月05日

博物館のキャピスター

 今パソコンの画面から窓のほうに目を向けると少し透けたスクリーンカーテンの向こうがピンクに染まっている、細い道路を挟んで向かいの家の前庭の大きな花水木の花が満開で、カーテンを開けると窓いっぱいに、まるで絵画か写真のように見えている。


 この季節はどこへ行ってもいろいろな花が咲いて華やかな気分になるが、桜にしても花水木にしても華やかな時期はホンの一瞬に過ぎない、一瞬だからこそ華やかで美しいのかもしれない、そんな一瞬だけ華やかに美しく咲いたクルマがある。

 先日家内と能登方面を旅行したついでに北陸道は加賀ICで降りて日本自動車博物館に立ち寄った。いっぱい写真を撮ってこようと思っていたが、館内に入ると薄暗い、「現在、節電のため照明を落としております」とのアナウンスだ、まあええわ、と思ってシャッターを切ったが、暗いのでぶれた写真をたくさん撮ってきてしまった。

 そんな少ない写真の中から今回は一瞬だけ輝いたクルマを紹介する。

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 スバルキャピスターがそれだ。
 博物館の薄暗い隅っこにひっそりと居眠りをしているこのクルマは、知る人ぞ知る「公道を走れるレーシングカー」なのだ。


 しかしこのクルマがレースに出たという記録もコースで撮影された映像も写真も見たことはない、1989年第28回東京モーターショーのスバルのブースでたった2週間だけ輝いたクルマなのだ。
 しかしプレーステーション2のアウトモデリスタというレースゲームの中ではキャピスターの勇姿が見られるそうだ。

 エンジンはスバルがイタリヤのモトーリモデルニと共同で開発したF1用のエンジンをデチューンしたもので、スバルMM型、水冷水平対向12気筒、DOHC、3497㏄、585ps/10750rpm、39.2kg-m/10500rpmをミッドシップに搭載している。


 シャシは童夢が設計製作、またワコールがスポンサーとなって設立されたジオットが企画し、この美しいボディをデザインしている。
 何しろ前述のように公道を走れるF1マシーンを目指して造られたクルマだけに最高速は300km/h以上という。

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 しかしスバルはこのエンジンでF1の予選を通過できず撤退、ジオットの手で日産のV6エンジンやイギリスのエンジンメーカー、ジャッドのV10エンジンなどが検討されたが、結局たった2台だけ造られてイギリスからの輸入という形で運輸省の認可をとったもののバブル景気の崩壊ととものこの計画も中止となった。


 もしもこのクルマを販売したとしても1台1億円以上の値を付けて、なお赤字になっただろう、このバブル景気の時代には他のメーカーもこのような贅沢なクルマをこぞって試作した、一般の乗用車だってこの時代に設計され、90年代に販売されたクルマは贅沢な作りになっている、しかし技術的には一弾の進歩があったといわれている。

 現在もこの日本自動車博物館に1台と、童夢の倉庫に一台眠っているという。

 

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posted by 健太朗 at 23:10| Comment(2) | TrackBack(0) | スバルの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする